MicrosoftとXenSource、仮想化技術の相互運用に向け本格提携

 米Microsoftとオープンソース仮想化技術のプロバイダーである米XenSourceは7月18日、Windows Serverの次世代バージョンとXen対応Linuxとの相互運用の実現に向けて協力することで合意したと発表した。

 次期Windows Server「Longhorn(開発コード名)」とXenSourceのXenベースの仮想化技術を使えば、1台のサーバでWindows、Linux、Xen対応Linuxの複数のインスタンスを同時に稼働させることができる。またMicrosoftは、2008年半ばにLonghornとそのハイパーバイザ(ゲストOSを複数作成するために使用される技術で、仮想マシンとも呼ばれる)を出荷した時点で、テクニカル・サポートも提供する予定だ。

 すでにXenSourceは今年4月に、MicrosoftのVirtual Hard Diskフォーマットのライセンスを取得することで合意しており、XenSourceのハイパーバイザ「XenEnterprise」に、Microsoftのハイパーバイザ「Virtual Server」で作成された仮想マシンをインポートできる技術を手にしている。

 今回の本格提携について、プンドITのアナリスト、チャールズ・キング氏は、「XenSourceには、マルチOS仮想化プラットフォームが実現できるという点で大きなメリットがある。また、Microsoftの今回の決定は、業界の趨勢に従って、企業のデータセンターからLinuxを追い出すことができないということを認めたという点で賢明な判断だ」と語っている。

 XenSourceのXenEnterpriseは、今年第3四半期にリリースされると見られている。これに伴い、XenSourceは、Microsoftや仮想化市場をリードしているVMwareと実質的に競合する可能性が高く、XenSourceのビジネス開発担当副社長フランク・アーテイル氏もこの事実を認めている。

 「当社が掲げている目標は、ハイパーバイザに付加価値を付けることによって、潜在的な市場を開拓することであり、さまざまなプラットフォームでLinuxをゲストOSとして使えるようにすることでそれを実現したい」(アーテイル氏)

 一方、イルミネータのアナリスト、ゴードン・ハフ氏は、今回の提携をXenSourceにとってプラスになる動きと評価しながらも、「Xenはかなり新しい技術であり、市場で有効性を実証するにはもう少し時間がかかる」と指摘する。

 キング氏も、「XenSourceが生き残るためには、Linux以外のOSもサポートする必要がある」と述べている。

 アーテイル氏は、今年夏に仮想化関連ソフトの開発計画を一部発表する予定と語っているが、詳しい内容は明らかにしていない。

 一方、MicrosoftのWindows Serverグループ担当上級ディレクター、ジェフ・プライス氏によると、同社は、すでにWindows Server 2003ベースのサーバとVirtual Server 2005を組み合わせたシステムで、WindowsやLinuxの複数のインスタンスをゲストOSとして稼働させることができる環境を実現しており、今後Longhornが登場すれば、パフォーマンスが向上し、管理も容易になるという。

 「重要なのは、Xen対応LinuxがLonghornの仮想化プラットフォーム上でスムーズに動くようになるということだ」(プライス氏)

 現在出荷されているXen対応Linuxは、Novellが7月17日に正式ロールアウトしたSUSE Linux 10 Serverだけだ。しかし、Red Hatも、Red Hat Enterprise LinuxのXen対応アップデート版を年内に投入する見通しだ。

 MicrosoftもXenSourceも、提携の具体的な内容は明らかにしていないが、アーテイル氏によると、同社は、最近ワシントン州レドモンドのMicrosoft本社近くにオフィスを開設し、自社の開発者を派遣しているという。

 また両社は、Longhorn上でXen対応Linuxのインスタンスを稼働させた場合のパフォーマンスが通常のLinuxディストリビューションに比べてどの程度なのかという点についてもコメントを控えており、Longhorn上で稼働させることができるゲストOS数の上限についても言及していない。

 現在のところ、Longhornは、2007年末にリリースされると見られている。一方、仮想OSの作成/管理機能をサポートし、現行のVirtual Server 2005の後継バージョンとなる内蔵ハイパーバイザのベータ版は、年内に登場するもようだ。

 なお、ハイパーバイザの正式出荷版は、Longhorn出荷後6カ月以内に投入される見通しだ。

(エリック・レイ/Computerworld オンライン米国版)

米Microsoft
http://www.microsoft.com/

米XenSource
http://xensource.com/

提供:Computerworld.jp