SFLC、OpenHALの開発続行にゴーサイン

 OpenHALは、Atheros Communicationsの技術を使用したLANカードを使ったワイヤレス接続をLinux上で実現するためのプロジェクトだ。今回SFLC(Software Freedom Law Center)による調査の結果、OpenHALには、Atherosが所有する著作権を侵害する可能性のある要素は含まれていないということが明らかになった。

 Linuxのワイヤレス技術開発に取り組むLuis Rodriguez氏は「われわれの最終目標は、Atherosデバイスの完全なサポートをLinuxカーネルに含めることだ。今回、Software Freedom Law Centerが法的な開発許可を与えてくれたことにより、われわれはこの目標の実現に一歩近付いた」とSFLC発行のプレスリリースの中で述べている。

オープンソースのワイヤレスネットワーク関連の開発には苦労が多い。今年2月のLinux.comの記事の中でSune Molgaard氏は、「Linux上でワイヤレス接続を行なうのは、どのネットワークカードを使うかによって、簡単な場合もあれば難しい場合もある。なぜかと言えば、ドライバがハードウェアを操作する方法などといった最も基本的な情報さえも、オープンソース開発者に提供するのはベンダにとって不本意であったり法的に不可能であったりすることが、特にワイヤレス接続デバイスの場合、多いようなのだ」と説明していた。

 MadWifiプロジェクトはAtherosチップを搭載したネットワークカード用のLinuxドライバの開発を行なっていて、以前は、Atherosが提供するクローズドソースのHALを利用していた。HAL(Hardware Abstraction Layer)というのは「ドライバがハードウェアにアクセスするためのAPIを実装したカーネルモジュール」のことだ。OpenHALはオープンソースのHALであり、もともとは、ark5という名前でOpenBSD用にReyk Floeter氏が開発したものだ。SFLCは昨年の秋にark5のレビューを完了して、ark5の出所がオープンソースであることを保証し、法的な不確実性を晴らした状態で開発の続行を認めていた。

 今年に入ってから、Atherosの著作権を侵害する可能性のある要素がOpenHALに含まれているという非難があったため、MadWifiの開発者たちがSFLCに調査を依頼した。そして本日SFLCが「OpenHALのコードとプロプライエタリなAtherosのコードとを比較した結果、著作権侵害は存在しなかった」ということを発表したことにより、MadWifiプロジェクトに対してLinuxへの移植作業の続行の許可が下りたことになる。SFLCは、フリー/オープンソースソフトウェアコミュニティに対して法的な支援を無償で提供する組織だ。SFLCの弁護士であるKaren Sandler氏は、「これでOpenHALの開発者は、法的にクリーンな状態で開発を続けることができるようになった。ただし彼らは今後も、Atherosのプロプライエタリなコードとは独立して作業を続ける必要がある」と述べた。

Linux.com 原文